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「酵素玄米を家で手軽に炊くことができたら…」という思いから、愛知県西尾市の海岸沿いにあるカフェ「酵素玄米Labo」にて「Labo炊飯器」が生まれました。「Labo炊飯器」は、酵素玄米を短時間で炊けて、自動で熟成もできる優れもの。前編では、「Labo炊飯器」ができるまでの開発秘話を紹介。後編では、「Labo炊飯器」の構造や、カフェ「酵素玄米Labo」の魅力に迫ります。
↑「Labo炊飯器」を開発した、酵素玄米Labo株式会社の吉田美香子さん(左)と畔柳幹也さん(右)。
IHの時代に、IHでないものを作る理由
「Labo炊飯器」のこだわりのひとつは、電熱ヒーターを使って炊くマイコン式であること。できるだけ体にやさしく、アナログな方法で炊く。酵素玄米という健康にいい食べ物を、健康にいい方法で調理するということに、吉田さんはこだわってきました。しかし今の時代、大体の炊飯器はIH式。マイコン式を作りたいという提案をして、受け入れてくれるメーカーを探すのに一苦労したといいます。
↑IHの炊飯器にはない「熱板(ねつばん)」。内釜の下から熱を加えて炊き上げます。
熱の対流と圧力を計算し尽くし、絶妙な炊き加減を叶える
マイコン式の難しいところは、お米の量が多いと火力が足りず過熱にムラが生じることがあるというところ。それをクリアするため、熱が均一にかかるように内釜が微妙なカーブを描いています。また、酵素玄米をおいしく炊くには圧力の高さが大きなカギ。一般の炊飯器だと1.4気圧ほどですが、「Labo炊飯器」は1.8気圧。圧力鍋よりも少し高い気圧に設定されており、中までしっかり火を通すことができます。また、圧力鍋として活用すると、煮込み料理、煮物、豆料理などの時間のかかる料理を短時間で調理することも可能です。
↑炊き上がりに小豆が中心に集まるのは、熱が均一にかかっている証拠。
↑構造の説明をしてくださった畔柳さん。エンジニアとして勤務した経験を生かし、設計・開発・製造・修理を担当しています。
開発途中で始めた、「家電メーカーのカフェ」
カフェ「酵素玄米Labo」で生まれた「Labo炊飯器」ですが、「カフェが作った炊飯器」ではなく、「家電メーカーが開いたカフェ」なんです。
「炊飯器を開発している途中で、まずは酵素玄米をお客様に食べてもらう場をつくってはどうだろうか?と思いつきました。本格的な酵素玄米を作るのは本当に難しく、雑菌が繁殖していることに気づかずに食べている人もいます。きちんと熟成されたおいしい酵素玄米の味を知ってもらうためにカフェを開きました」と吉田さん。
ランチプレート(レンコン団子)
↑カフェで1番人気のメニュー「本日の酵素玄米ランチプレート」(数量限定)/¥1,500(税込)。炊きたての酵素玄米と熟成した酵素玄米の2種類を食べ比べすることができます。
↑晴れた日は窓辺からさわやかな海岸の景色を眺めることもできます。
カフェ運営中のひらめきが、2つ目の特許を生んだ
そんな経緯でオープンした、カフェ「酵素玄米Labo」。金~日曜のランチタイム営業ですが、ふたりで調理も給仕もしなければならないため大忙し。畔柳さんが酵素玄米を炊き、そのほかの調理を吉田さんが担当。そんな中、畔柳さんはとあることをひらめいたといいます。酵素玄米の熟成後は、保温している間に水分が上がって天板につき、それがまた落ちてお米がべちゃべちゃになることが多いといいます。逆に熟成が長いと水分が飛んでカピカピに。
畔柳さんは、おいしく熟成させるには水分の微妙なコントロールも必要だと感じ、その機能を入れるアイデアを発案。「普段は吉田がアイデアマン。だけど、カフェで提供するご飯を炊いているうちに僕もひらめきました。このアイデアが、特許につながったんです。カフェを開いたおかげですね」と畔柳さんは顔をほころばせます。
↑蒸気排出口から余分な水分を吐き出し、水分量のコントロールをします。
↑2018年6月に取得したばかりの特許。熟成機能が評価されています。
吉田さんの開発経験を生かした、酵素玄米グッズ
「酵素玄米Labo」の店頭では、酵素玄米のグッズが販売されています。1回食べきり分をセットにした「にじいろ酵素玄米・プレミアムキット」は、洗ってそのまま炊くことができるので、酵素玄米初心者におすすめの商品です。注目すべきは、酵素玄米を炊いて石臼挽きで粉にした「挽きごはん」。甘酒づくりに活用できるほか、お湯や水で溶けばおかゆや離乳食にもなるのだそう。小麦粉の代わりとしてお料理やお菓子作りに使えるので、アレルギーのある人にも嬉しい商品です。
↑酵素玄米関連グッズ。カフェ営業の合間に開発・製造しているのだとか。
↑おかゆやスープにも使える「挽きごはん」/1,728円(税込)。お湯や水を注ぐと栄養豊富なおかゆになるので、非常食としてもおすすめです。
酵素玄米をこれからの日本人の主食にしたい
「Labo炊飯器」の開発、カフェの開設、酵素玄米関連グッズの開発など、さまざまなことに挑戦してきた酵素玄米Laboのおふたり。これからの目標は、酵素玄米を日本人の主食にすること。「商品を売っているというより、健やかな暮らしのお手伝いをしているという感覚です。酵素玄米は、日本人に合ったお米の食べ物だと思うので、現代に合った炊き方のできるLabo炊飯器が世の中に広まって、酵素玄米が日本人の主食になればと願っています」。
↑やさしい味のおむすび。酵素玄米そのものの味を楽しむことができます。
日々の体を支える食事、命をつなぐ食事として、お米の大切さに目を向けてみる。そんなとき、新しいお米の食べ方として、酵素玄米が食の選択肢を広げてくれることとなるでしょう。ぜひ一度、「酵素玄米Labo」で酵素玄米を味わってみてください。
(写真:西澤智子 文:木村望)