赤ちゃんをやさしく包み込む、天然藍染めのベビー用品【Aiシリーズ】前編

染めの原料としてだけでなく、薬草として煎じて飲むなど、古来より世界各地で活用され、人々の暮らしに寄り添ってきた藍。藍が持つ深く美しい色合いは、ここ日本でも古くから親しみ深く、多くの人の心を魅了し続けています。
その藍染めの魅力に着目し、2017年12月に誕生したのがベビー用品を中心とした「Aiシリーズ」。手がけるのは、愛知県蒲郡市に本社を構えベビーと家族のためのさまざまなものづくりをする「フィセル」と、愛知県西尾市で天然染料と手染めを生かしたアイテムを制作・販売する「渦-uzu-」です。

 

↑ 天然素材の藍には、赤ちゃんにやさしい効能がいっぱい。詳しくは後ほど…!
 

先人の知恵を現代の子どもたちに伝えていきたい

 
「Aiシリーズ」は、世界各地の文化や民芸品からヒントを得た商品が揃う、フィセルが手がけるブランド「BOBO」から生まれた新シリーズ。「昔の人は虫が寄ってこないように、藍のもんぺで畑仕事をしたり、藍染めの風呂敷に大切なものを包んで保管するなど、天然藍が持つ効能を暮らしの中に取り入れていました。こうした昔の人の知恵を現代の子どもたちにも伝えていきたいと思い、新シリーズは藍染めにしようと決めました」と語るのは、企画・デザインを担当するフィセルの岩本真紀さん。
 

↑ 2人の子どもを持つ真紀さん。自身の子育ての経験がものづくりに生かされているそう。
 

藍染めがもつ効能を生かし、現代にあったデザインを生み出す

 
藍染めには防虫のほかに、消臭や抗菌、UVカット、保温作用などの効能もあるといわれています。「藍染めの肌着は、肌荒れやあせもを防いだり、冷え性にも効果があるといわれ、藍が持つ力は赤ちゃんが気持ちよく過ごすためのアイテムをつくる上でぴったりだなと思ったんです」。
「Aiシリーズ」は、じんべいやミトンなどのベビー用品のほか、授乳ケープやストールとして使える「ママケープストール」やベッドカバーにもなる「おくるみスロー」など、さまざまなママ向け商品も展開。「藍染めをきっかけに故きを温め新しきを知り、現代の暮らしにおしゃれなものとして気軽に取り入れてほしいという想いから、素材やデザイン性にもこだわりました」と真紀さんは語ります。
 

↑ 藍染めがもつUVカットや保温効果を生かしてつくられた「こどもケープ」。日よけや肌寒い時の羽織りとして活躍するだけでなく、ボタンを外せばタオルや手ぬぐいとしても使えます。
 

↑「ママケープストール」には、ストールとして首に巻いた時、着こなしのアクセントになるよう、カラフルなタッセルを施しています。授乳時には360度カバーしてくれるので安心です。
 

異なる色合いと、“色が冴えていく”様子を楽しんでほしい

 
真紀さんは藍染めがもつ、色や風合いの変化にも着目。昔の人は藍染めしたものの色や風合いが変化していく様子が、夜の濃紺から日が昇り、少しずつ明るくなっていく空の色の変化に似ていることから、“色が冴える”と表現したのだとか。「日々変化し、一人ひとりが異なる表情を見せるのは、子どもも同じ。藍染めの色の変化を楽しむように、子どもの成長も楽しめたらいいなと思いました」。
 

写真提供:フィセル
 

2人のママが、自然本来が持つ力に注目し制作

 
「Aiシリーズ」の藍染めの工程を担当したのは、「渦-uzu-」の青木愛さん。綿織物の産地である西三河で染め物に出合い、その魅力に惹かれ、自らも染め職人の道へ進んだという愛さんは、独自の色彩感覚を生かしたアイテムを次々と生み出しています。そんな愛さんの元を真紀さんが訪れたのは、2017年の夏。「直接訪問してお会いし、愛さんの草木の色に向き合うまっすぐな姿勢に敬意を感じるとともに、子育てをする母という点でも意気投合。ぜひ愛さんに染めを担当してほしいとお願いしました」と真紀さん。こうして「Aiシリーズ」の製作が本格的にスタートします。
 

↑ 和気あいあいとした雰囲気で話し合う愛さんと真紀さん。時には子育て話にも花が咲きます。
 

↑ 真紀さんは製品化する前に「渦-uzu-」で染めてもらったサンプルを自宅に持ち帰り、強度や色が落ちないかを確認。自ら使ってみることで、藍染めした生地の扱いやすさや良さを実感したのだそう。
 

心が込もった丁寧な手仕事にこだわる

 
手でひとつずつ染める藍染めを取り入れたのには、真紀さんの手仕事へのこだわりが。「機械はとても便利ですし、『Aiシリーズ』にも機械でなければできない部分もありますが、手仕事の奥にはいつも人の心が宿っていると思っています。大切な赤ちゃんが身につけるものだからこそ、手間や時間がかかっても、心を込めて一つひとつ丁寧に作りたかった」と真紀さんは語ります。
 

↑ 縫製は、フィセルのものづくりに長年携わっている縫製工場などに依頼。その高い技術を感じてもらいたいと、糸はあえて藍染めでは染まらないポリエステルを使用し、縫い目が際立つようデザインされています。
 
一つひとつ手で染め上げていく藍染め、細部まで丁寧に仕上げられた縫製など、繊細な手仕事が積み重なりようやく完成する「Aiシリーズ」。そこには、子どもの健やかな成長や家族の幸せを願う人々の心がたくさん詰まっていたのです。
後編では「渦-uzu-」の工房に潜入。藍染めの工程を紹介するほか、真紀さんや愛さんのものづくりへの想いにも迫ります。
 
(写真:西澤智子 文:松本翔子)
 
後編はこちら
 
 

New Report

2026-05-05

東海ムーブメント仕掛け人

「農と食と人をつなぐ」をビジョンに里山体験やクラフトビールを展開!岐阜県白川町【農LAND BEER・児嶋健さん】

左より農LANDBEERオーナーの児嶋健さん、スタッフで醸造・広報担当のKEITAさん 面積の9割が森林に覆われた岐阜県白川町。なかでも有機農業に力を入れて取り組んでいる黒川地区で、「遊ぼう、...

2026-05-03

TOPICS

郡上おどりデビューや親子におすすめ!「郡上ODORI 2026」5/16(土)、31(日)

7月中旬から9月上旬にかけて約30夜開催される日本三大盆踊りの1つ、岐阜県郡上市の「郡上おどり」がこのエリアでは有名です。そこで、郡上おどりデビューしたい人や、名古屋近郊や岐阜市近郊で手軽に...

2026-05-01

FEATURE

新緑の豊田市・足助散策!森林浴と古い街並み、地元グルメ巡りで心と体を癒す旅

豊田市足助町は、かつて信州(長野県)への中継地として栄えていた宿場町。そして、全国的に知られるもみじの観光名所・香嵐渓がある町です。初夏の香嵐渓は約3,000本のもみじに青々とした葉が芽吹き...
ピーナッツ,チャーリーブラウン,スヌーピー,トムエバハート,イベント,名古屋

2026-04-29

TOPICS

悩める人の心に寄り添うアート「トム・エバハート展」5/8(金)~10日(日)

スヌーピーの生みの親であるチャールズ・M・シュルツが、スヌーピーをはじめとする『PEANUTS™︎』キャラクターを使ってアートを表現することを世界で唯一認めた画家、トム・エバハ...
珈琲回遊,半田,珈琲,イベント,半田赤レンガ建物

2026-04-24

TOPICS

20店以上の珈琲を飲み比べ「珈琲回遊」4/29(水・祝)

東海エリアのコーヒーショップやバリスタが20店舗以上集まり、コーヒーの飲み比べやペアリングスイーツ・フードを楽しめるイベント「珈琲回遊」が、2026年4月29日(水・祝)に半田市の半田赤レン...
ムーミン,トーベとムーミン展,名古屋,松坂屋美術館

2026-04-18

TOPICS

トーベ・ヤンソンの創作世界「トーベとムーミン展~とっておきのものを探しに~」4/25(土)~6/14(日)

『ムーミン』小説の出版80周年を記念した展覧会「トーベとムーミン展~とっておきのものを探しに~」が、2026年4月25日(土)~6月14日(日)に名古屋・栄の松坂屋美術館で開催されます。 ...
カレー,イベント,スパイスカレー,名古屋,食べ比べ,人気店

2026-04-16

TOPICS

バリエ豊かなカレーを堪能「TOKAI カレーなるフェス」4/29(水・祝)~5/4(月・祝)

近年人気のスパイスカレーをはじめ、愛知・岐阜・三重の有名カレー店、他エリアのカレーイベントの人気上位店など、30店舗以上が出店する中部地区最大級のカレーの祭典「TOKAIカレーなるフェス」が...

2026-04-14

TOPICS

日本三大山城夜景「岐阜城パノラマ夜景」4/18(土)・19(日)、4/25(土)~5/6(水・祝)

2025年12月に仙台城跡、松山城とともに「日本三大山城夜景」として新たなブランドを立ち上げた「岐阜城」。戦国武将「斎藤道三公」、「織田信長公」が築いたまちの夜景を見渡せる場所として、今後注...
浮世絵,歌川国芳,展,名古屋,愛知県美術館

2026-04-11

TOPICS

奇怪で粋な浮世絵ワールド「歌川国芳展ー奇才絵師の魔力」4/24(金)~6/21(日)

江戸時代後期に活躍した浮世絵師・歌川国芳の全貌に迫る「歌川国芳展―奇才絵師の魔力」が、2026年4月24日(金)~6月21日(日)に名古屋・栄の愛知県美術館で開催されます。 斬新な発想...

2026-04-09

書店員の本棚

親子で読みたい!新生活を応援してくれる絵本3冊:名古屋市南区「ブタコヤブックス」

愛知県名古屋市、名鉄「本笠寺」駅から徒歩2分の場所にある書店「ブタコヤブックス」。2025年7月にオープンした新刊書店です。小学校教員として16年勤めたのち書店を開業した店長の船張真太郎さん...

2026-04-07

TOPICS

巡回展が名古屋からスタート!「NHK大河ドラマ特別展 豊臣兄弟!」4/18(土)~6/14(日)

「彼が長生きしていれば豊臣家の天下は安泰だった」とまで言わしめた豊臣秀長の目線で、戦国時代をダイナミックに描く2026年NHK大河ドラマ「豊臣兄弟!」。ドラマと連動し、これまであまり光の当た...
pagetop
もくじ