国籍や文化的背景を問わず世界中の人々を強くひきつける作品を生み出す、1990年代以降の現代美術で最も重要な作家のひとりといわれる奈良美智。そんな奈良氏が「作家としての自分が形成された大切な時期」と話す学生時代を過ごしたのが愛知県の長久手。今回の個展は、その長久手の隣町にある豊田市美術館ということで、心情的にも特別なのだとか。いわば、30年越しの“卒業制作”。
会場には、1987年から2017年の最新作まで、絵画やドローイング、立体作品、小屋など国内未発表作品を多数含む100余点の作品が世界中から集まります。また、美術を志す前の奈良氏の感性を育んだレコードのジャケットや書籍なども勢揃い。テーマは「for better or worse」。和訳すると「どのような運命になろうとも」。奈良氏がこれまで描いてきた、そしてこれから描いていく、作家として生きていくための決意表明でもある展覧会です。