インタビュー・モノ

「ものづくり」の背景にあるストーリーを紹介。作り手の想いやこだわりに迫ります。


前編はこちら→標高700mの小さな集落、郡上市石徹白(いとしろ)の伝統服を現代風にアレンジ!【石徹白洋品店】前編
 

岐阜県と福井県の県境にある小さな集落・石徹白(いとしろ)に伝わる野良着を現代でも楽しめるようにアレンジする「石徹白洋品店」。前編では、オーナーの平野馨生里(かおり)さんに、石徹白の魅力や「たつけ」「はかま」などの野良着をアレンジした商品の特徴について話を伺いました。石徹白洋品店の服は、野良着ならではの動きやすい形はそのままに、こだわって選んだオーガニックコットンやリネン、草木染や藍染などのやさしい風合いが特徴。後編では、石徹白に自生する草木をつかった「草木染」の制作風景に迫ります。
 

石徹白の息吹をまとう服づくり

 

↑豊かな風土の石徹白で育つ立派なスギの葉も草木染めの材料に。
 

↑スギの葉を半日煮出した染液で、布を煮詰め染め上げます。
 
石徹白洋品店の服に使われる染料は、地元に生息する草木や花々から生み出されます。草木染からは、春夏秋冬の移り変わりを楽しむことも。服を通して、石徹白の自然が身近に感じられます。
 

人にも環境にも優しい「鉄媒染」

 

↑鉄がなくなるまで何度も煮出すそう。環境に配慮した服づくりに脱帽です。
 
草木の色を布に染め付け、定着させるために必要なのが「媒染」。そこで使用するのが鉄なんだそう。山から湧き出る清らかな水を使って、鉄を煮出します。使う鉄は主に廃材だそうで、平野さんは「鉄なら何でも良いんです!」と楽しそうに話します。ゴミに出された鉄くずを使うことも。鍋に入れたあと、鉄分がよく出るように酢と砂糖を少々。見た目はとてつもないインパクトですが、まるで料理をしているかのようです!

 

↑先ほど鉄から煮出した染料。生地に余分な鉄分がつかないようお湯でこし、染液で一度煮詰めて染めた生地に3回ほど染み込ませます。
 
石徹白洋品店の服はすべて手作業。1つひとつ、自分の目で生地の風合いを確認しながら丁寧につくり上げられていきます。

 

空気に触れることでより深みのある色に

 

↑絞った布を何度か振り、石徹白の風をたっぷり吹き込ませます。
 
その後、鉄媒染した布を空気に触れさせる作業へ。鉄と酸素が結合することで、スギの葉で染めた下地の色が、さらに深みを増すそうです!

 

↑仕上げに真水で洗います。
 
真水で洗ったあと、乾燥させたら布の制作は終了。乾燥後に、色をより定着させるため、布を1年間、暗いところで寝かせるのだとか。現在販売されている服の生地は、1年ほど前に染め上げられたものなんですね!

 

自分好みの服に仕立てる幸せな時間

 

↑ビワで染めたシャツやヨモギで染めたはかまなど、手染めならではの揺らぎのあるニュアンスと色合いが素敵です。
 
「それぞれの草木にも個性があって、いろんな色が見えてくるのが面白い。色が落ちてしまっても、重ねて染めることでまた違った色合いに変化します」と平野さん。作り手が服づくりを心底楽しんでいることが、石徹白洋品店の魅力につながっています。

 

 
平野さんは、石徹白を身近に感じてもらいたいと、たつけやはかまの作り方をYouTubeや書籍で紹介しています。「たつけやはかまなどのズボンを通して、1人でも多くの人に石徹白という場所を知ってもらいたいです」。そのあたたかな表情には、山奥で伝統服をつくってきた石徹白のおばあちゃんたちに感謝しながら、野良着を誇りに想う気持ちであふれていました。
 
 
(写真:岩瀬有奈 文:壁谷雪乃)

 
 

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