逆さに閉じるから濡れない!雨の日も快適に過ごせる傘【GAX Umbrella】前編

雨の日は車での移動が便利な一方、濡れた傘で車内がびしょびしょになってしまい、不快に感じる人もいるのでは。“傘を閉じたときに濡れた面が内側になれば、この悩みを解決できるのでは――”。そんな発想から2015年に誕生した傘が「GAX Umbrella」です。手がけるのは、愛知県春日井市にある「ユートレーディングコーポレーション」。従来とは全く異なる構造の傘は、一体どのように生まれたのでしょうか。
 

↑ 車に乗ったまま傘を開閉しやすいよう、伸びた位置から開く設計。
 

車好きが高じて、革新的な傘の開発がスタート

 
「元々は歯科技工所として創業した会社なんです」と話すのは、ユートレーディングコーポレーションの営業・広報を担当する渡辺わかさん。歯科医院で用いられる歯の詰め物や土台、被せ物などを製作していたという同社が、なぜ傘の開発をすることになったのでしょうか。
「傘の開発を始めたのは2005年頃。仕事でもプライベートでも毎日のように車を使う生活の中で、雨の日に傘で車内が濡れることを不快に感じていました。そんな時、ふと逆に開閉すれば車内が濡れなくて済むのではないかと思ったのが開発のきっかけです」。雨の日の車の乗り降りに着目し、始まった「GAX Umbrella」の開発。しかし、逆に開くという今までとは全く違う発想の傘を量産するまでには、10年もの歳月がかかりました。
 

↑ 広報や営業を担当している渡辺さん自身も、傘布の素材やデザイン、配色などを提案するなど、開発の一部に携わってきたのだそう。
 

↑ 助手席や後部座席でも、傘で足元が濡れる心配がなくなるのは嬉しいですよね!
 

歯科技工の技術を生かし、イメージする動きを実現する

 
「そもそも一般的な傘を作るノウハウがないため、まずはありとあらゆる傘を買ってきて分解し、骨の構造を調べるところから始めました」と渡辺さん。開発を始めた当時、逆に開閉する傘はどこにも存在せず、パーツも一から自分たちで作るしかないと試作に取りかかります。骨の構造を開発する上で、生かされたのが歯科技工の技術。「私たちは、一人ひとりの歯の形に合わせて型を削るという歯科技工の繊細な技術を生かし、小さいパーツも自分の手で削って作り、イメージする動きと違えばまた作り直すという作業をスムーズに行うことができました」。
 

↑ 骨の構造を研究するために作った試作の一部。細かいパーツはホームセンターなどで購入した材料を加工し製作したもので代用して研究したのだそう。
 

↑ 長年培ってきた高い歯科技工の技術で、ミリ単位での細かな調節ができたのだそう。
 
頭の中でイメージした動きを実現するため、間接部のような小さなパーツから芯となる大きなパーツまで自ら制作。複雑に作動する傘の開閉を支えるパーツは、従来の傘に使用する部品の約3倍にあたる99個! そのすべてを一から作りあげる中で、不具合にも臨機応変に対応できたことが、逆に開閉するという特殊な動きを実現可能にしたのです。
 

↑ 傘の動きは逆ですが、操作は従来の傘と同様に設計されています。
 

傘布を2枚重ね合わせ、内骨が濡れない設計に

 
「GAX Umbrella」は内と外で2枚布を重ね合わせてあり、開いた時と閉じた時で異なる表情が楽しめるのも特長です。「はじめは1枚布で開発を進めていましたが、閉じた時に布の濡れた部分が中心の棒に触れてしまい、何度も開け閉めを繰り返すと中心の棒が濡れてしまうことがわかったんです。そこで、内と外で2重になるように布を張り、外布が袋状に閉じる設計にすることで、濡れた部分が中心の棒に触れず、傘を再び開いた時にも濡れないようにしました」。
またシルエットにもこだわりが。「機能性の高さはもちろんですが、ファッションの一部としても楽しんでほしかったので、パゴダとよばれるインドの仏塔のような形をモチーフに、美しいフォルムにもこだわりました」。
 

↑ 男女問わず、おしゃれに持ち歩けるデザイン。
 

↑ コンパクトな「G-1S」は3色展開。少し大きめの「G-1」は、「レッド×ブラック」と「グレー×キトンブル」の2色展開です。※写真は「G-1S」
 
“逆に開閉する”という新しい発想から生まれた「GAX Umbrella」。後編では、すべて自社工房で行うという組付け作業や繊細な技術を要する縫製作業の現場に潜入。またユートレーディングコーポレーションのものづくりへの想いについても紹介します。
 
(写真:西澤智子 文:松本翔子)
 
後編はこちら
 
 

New Report

2026-07-08

TOPICS

金魚が優美に泳ぐ芸術空間「アートアクアリウム展 名古屋2026」7/24(金)~9/23(水・祝)

金魚と光・音・香が織りなす芸術空間「アートアクアリウム展 名古屋2026」が2026年7月24日(金)~9月23日(水・祝)、名古屋・栄にある中日ビルで開催されます。 江戸時代から続く...
桜山風鈴まつり,風鈴,2026,ライトアップ,高山

2026-07-04

TOPICS

カラフルな風鈴が夏を演出「桜山風鈴まつり」7/18(土)~8/29(土)

約2,000個のカラフルな風鈴が彩る飛騨高山の夏の風物詩「桜山風鈴まつり」が2026年7月18日(土)~8月29日(土)、岐阜県高山市の櫻山八幡宮で開催されます。 絵馬殿に風鈴が飾られ...

2026-07-01

HIROBAくんと行く

湖池屋初、中部エリアの工場が岐阜県海津市に誕生!工場見学やマイポテチ作りを体験

ポテトチップスをはじめとするスナック菓子でおなじみの湖池屋。2025年12月には中部エリア初となる中部工場が岐阜県海津市に誕生しました。全国2カ所目となる「湖池屋GOGO!ファクトリー」も併...

2026-06-30

TOPICS

楽曲と紐解く流星群の世界「流れ星を探して feat. BUMP OF CHICKEN」7/3(金)~

名古屋市西区のイオンモールNagoya Noritake Gardenにあるコニカミノルタプラネタリウム楽天NAGOYAでは、2026年7月3日(金)~、BUMP OF CHICKENの楽曲...

2026-06-27

TOPICS

驚きと不思議に満ちた虫の世界「養老孟司と小檜山賢二の虫展」7/11(土)~9/23(水・祝)

解剖学者で大の虫好きとしても知られる養老孟司さん。そして、対象物の全てにピントがあう深度合成技法を駆使し、昆虫写真の新たな可能性を切り拓いた小檜山賢二さん。長年の虫友だちである養老さんと小檜...

2026-06-25

TOPICS

モダンで美しい色使いが魅力「スウェーデン・テキスタイル」7/11(土)~9/6(日)

カラフルで心躍るスウェーデンのテキスタイルにスポットをあてた、日本でも初めての展覧会「スウェーデン・テキスタイル  暮らしと自然に息づく北欧デザイン」が2026年7月11日(土)~9月6日(...

2026-06-20

HIROBAくんと行く

ぴよりんファンの夢が詰まったJR名古屋駅構内のカフェ「ぴよりんvillage」発売15周年の歩みにも迫る

JR名古屋駅構内を歩くと、至るところで見かける“あのスイーツ”といえば……今や名古屋を代表するスイーツと言っても過言ではない「ぴよりん」です。 ぴよりんの世界観を存分に体感できるカフェ...

2026-06-18

TOPICS

モダン・デザインの源流に迫る「アーツ・アンド・クラフツとデザイン│そして民藝」6/20(土)~8/30(日)

19世紀後半のイギリスのアーツ・アンド・クラフツ運動は、産業革命以後の機会化された工場で作られる粗悪な量産品や商業主義を批判して、職人の手仕事による上質なものづくりを見直すとともに、生活と芸...

2026-06-17

シーズントリップ

【愛知・岐阜・三重の工場見学】大人も子どもも楽しく学び、人気商品のヒミツに迫る!

2026年7月から一般公開が開始される湖池屋をはじめ、ブラックサンダー、ヤクルト、キリンビールなど人気商品の製造シーンが見学できる愛知・岐阜・三重の工場見学スポットをまとめて紹介。 無...

2026-06-14

TOPICS

色と色が織りなす表現「JURI KATO exhibition “between color and color”」6/18(木)~29(月)

豊かな色彩表現を活かしたアート作品を制作する、名古屋在住の絵描き・加藤樹里さんによる個展「JURI KATO exhibition “between color and color”」が、2...

2026-06-09

東海ムーブメント仕掛け人

いきものクッキーアートで「可愛い」の先にある物語を届ける【kurimaro collection 杉浦芽愛さん】

三重県桑名市に本店を構える「kurimaro collection(クリマロコレクション)」は、ポップでありながら、細部までリアルに再現した生きものをモチーフとしたクッキーアートを手がける店...
pagetop
もくじ