割れた器が美しく生まれ変わる!キズを味わいにする「金継ぎ」を体験

お気に入りの器が割れてしまった…捨てるのではなく、もっと愛着がわく姿に生まれ変わらせたい。そんな想いを叶えるのが「金継ぎ」です。
 
金継ぎとは、漆と金を使って割れた器を修復する日本古来の技術。
陶器やガラスのひび・割れ・欠けを隠すのではなく「金」で装飾することで、接着跡が金糸で刺繍したように美しいのが特徴。海外からも注目されています。
 
そんな金継ぎを特別なキットなしで気軽に体験できるのが、星が丘テラスにある「漆ギャラリーあさい」。さっそく教室にお邪魔させてもらいました!
 

 
さまざまな講座やワークショップを行っているイベントスペース「MONO LABO」にある「漆ギャラリーあさい」。ここで、金継ぎを中心とした漆芸を基礎から教えてくれる教室が開催されています。漆芸家である浅井啓介さんが教えてくれる本格的な教室で、老若男女に人気だそうです。
 
■教室開催スケジュール
 第1・3火曜(星組)
 第2・4火曜(丘組)
 
2組に分かれて実施。直したい器があれば持ち込んで修繕することができます。
金継ぎは「素地固め」「糊漆」「毛細管現象」「錆」「中塗り/仕上げ」の工程で作業します。各工程でしっかりと乾燥させる必要があるため、「漆ギャラリーあさい」では月2回通って作業しているそう。今回特別に全体の流れを体験させてもらうことに。

 

もくじ

湯吞み茶碗の修繕に挑戦!

 


 
まずは筆を使いやすくするための下準備から。筆にはあらかじめ菜種油をつけて保管しているのだそう。
油をつけておかないと、漆でカチカチに固まってしまうのだとか!
はじめに、その筆についている油分を出していきます。

 

【工程1】素地固め(そじがため)

 

いよいよ、最初の工程の「素地固め」。破損部の断面に生漆を染みこませ、強度を高めます。ここでのポイントは、薄く塗っていくこと。厚塗りすると皮膜ができてしまい、接着したときに隙間が生まれる原因となってしまうのだそう。
表面をふきとって仕上げたら、しばらく乾燥させます。

 

【工程2】糊漆(のりうるし)

 
次は、欠片同士を接着する「糊漆」の工程へ。

 

 
接着剤の役割をする糊の原料は、米粉と水。鍋に入れて70℃で熱することで粘り成分が出てくるのだとか。熱がまわって乳濁色になったら、一度冷まして生漆を混ぜます。
 

ヘラを寝かせて円を描くように混ぜていくと、だんだんと粘り気が出て糊状になっていくのが分かります。
 


 
つくった糊を破損部に塗っていきます。このとき、糊は思った以上に少量で良いのだとか。多くつけ過ぎると破損部に空気が通らなくなるため、逆にくっつきにくくなってしまうのだそう。

 
 


 
糊を塗ったら、いよいよ欠片を集めて成型していきます。パズルのようにぴったりとはめていき、マスキングテープで仮止め。簡単に見えますが、欠片同士がすぐにはくっつかず安定しないので意外と難しいんです!
 
 


 
まるで傷口を絆創膏で手当てしたような状態に…!
 

【工程3】毛細管現象

3日間ほど乾燥させたあと「毛細管現象」の作業へ。糊で接着しただけでは、破片と破片の隙間から飲み物などの水分が漏れてしまう可能性があるので、隙間を埋めるためさらに生漆を塗って染み込ませていきます。
 
浅井先生:「絶対に水漏れは起こさせないぞ!という気持ちで、塗ってね。STOP THE 水!」
 
生漆をたっぷりと使い、内側までしっかりと染み出してきたら、余分な部分をティッシュでふき取ります。

 

【工程4】錆(さび)

 

 
次に、「錆」の工程へ。小さな隙間まで穴埋めして整えるためのペースト状のものを「錆漆」と呼びます。砥石の粉(砥の粉)と貝殻の粉(胡粉)、生漆を混ぜて錆漆をつくり、欠損部分に塗ることで補修するのだそう。
 

こちらもヘラで混ぜ混ぜ。「胡粉(ごふん)」を入れることによって、化学反応で錆の内部まで乾きやすくなるとのことです。

 

 
表面だけでなく、隙間に入り込むように押さえてしっかり補修。十分乾いたら、耐水ペーパーを濡らして水研ぎ。表面に凹凸がない平らな状態になったら、仕上げの作業へ!

 

【工程5】中ぬり/仕上げ

 

 

 
最後は漆で線を引く「中ぬり」と、金粉をまく「仕上げ」です。傷口をなぞるように筆を走らせて黒い漆を塗り…金粉をまとった真綿でぽんぽんと押さえて密着させます。
 

 
あとは乾燥させたら、美しく生まれ変わった湯吞み茶碗の完成!
 
日本人の根幹にある“ものを大事にする”精神を証明しているかのような「金継ぎ」。自分の手でお直しすることで、さらに愛着がわきそうですね。
教室の開催だけではなく、すぐ隣のシェアストア「様の美」内では毎週火曜日に金継ぎ依頼の受付、漆器販売も行っています。まずは気軽に立ち寄ってみては。

 
 
 
(文:壁谷雪乃)

 
 

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