
浪人笠をかぶり、名古屋市内の街角に現れてサックスを吹く「サックス侍」。その活動がSNSやテレビで話題を呼び、「サックス侍に会いたい」「あの音をまた聴きたい」と名古屋を訪れる人が増えているとか。鶴舞公園では史上初の公式アーティストとなり、今や「名古屋の人間観光地」とまで称される存在に!
人の集まる場所で演奏するのではなく、人を集められるストリートアーティストとして注目の集まるサックス侍さんに、素顔の人となりや活動への想いについてインタビューしました。
サックス侍さん
コロナ禍に疲れた人を癒すため、2020年7月に活動開始。侍姿の非日常感と癒しの音色で「名古屋の動くパワースポット」と呼ばれるように。その後、名古屋が魅力に欠ける街No.1という調査結果を受け、2023年頃から「ならば自分が観光地になろう」と決意。2025年頃から鶴舞公園を正式拠点として活動を継続し、同年10月には名古屋観光特使に就任。
そもそもサックス侍として活動を始めたのにはどんな想いがあったのですか?
サックス侍さん(以下、敬称略):もともとは顔を出してストリートで演奏していたところ、コロナが流行り、フェイスシールド代わりに装着したのが笠でした。また、その頃はマーケティングの仕事をしていたのですが、40代に差しかかり、自分の実力テストのような感じで、自分を商品としてマーケティングしたらどうなるか、実証してみたいと考えたんです。

マーケターとしての挑戦でもあったのですね
サックス侍:はい、いろいろ分析しながら。僕はバラード専門なので、コロナ禍は「人の心に寄り添う」というテーマで活動していました。落ち込んでいる気持ちには同じようなトーンの音楽から入っていくのが良いらしいんです。自分の演奏が世の中の役に立つような意義というのも、その頃に学びました。
その後、地域活性というテーマにシフトされていったのですね
サックス侍:コロナ禍で屋外でのマルシェやキッチンカーでのイベントが増えたこともあり、そういう場で地域活性をテーマに活動していこうと考えました。ちょうどその頃、名古屋が「日本で1番魅力のない街」として報道されたことも印象的で。それなら、自分が観光地になる考え方もありなんじゃないかと思ったんです。

それが「人間観光地」につながったのですね
サックス侍:日本が今後どういう産業で生き残っていくかを考えたら、やはり独自の歴史や文化があるので観光業は主要になるはずなんですよ。でも、資材費の高騰も予測できる中で、新たに施設をつくったり建て直したりするのは難しい。お金をかけずに観光地を生み出すには、人が観光地になるという考え方が今後刺さっていくのではないかと思い始めたんです。
予測のもと計画的に。マーケターとしての経験が生きていますね
サックス侍:先を読むのって難しいと思われがちなんですが、世の中で未来について言われていることってたくさんあるじゃないですか。それを前提で考えていけばいいんです。この先AIの時代になっても、人ありきの産業なら生き残っていけるという見立てもあり、「人間観光地」というテーマに行き着きました。

手応えを感じたのはどれぐらいからですか?
サックス侍:2024年頃からSNSに力を入れるようになったら割と上手くいって、バズり始めて。それによりテレビにも取り上げてもらえるようになり、一気にお客さんが増えました。自分でお客さんを呼べるようになれば、場所はどこでも構わない。それならば、人が少ない場所に人を集めることで、地域の役にたてればと思ったんです。その先駆けとなったのが大曽根商店街でした。
大曽根商店街でのライブの定期開催がそれなのですね
サックス侍:再開発の影響で大曽根商店街が苦しんでいるというニュースは何度か見かけていて。その割に、来てみると魅力的なところがたくさんあるんです。小倉トースト専門のカフェがあったり、今はもう閉店してしまったのですがフルーツサンド発祥のお店があったり。シャッター街となった場所に僕が行っても何もならないけど、知れば魅力のある商店街なら何か変わるかもしれない。そう考えて、自分から活動させてもらえないかと打診したんです。

ライブはドロシーの泉で?
サックス侍:大曽根商店街はオズの魔法使いがテーマになっていて、入口から銅像を辿っていくと物語がつながっていくんです。その中にある広場・ドロシーの泉で定期的にライブを開催しています。広場にはなぜかギロチンが置いてあって、地域の人に聞いてもその理由はわからない。おもしろい商店街なんです。夕暮れ時は空の色と商店街の雰囲気が映えて良い感じです。
ライブの他にも地域が盛り上がる工夫をされているとか
サックス侍:ライブの日に商店街で買い物をした人にサックス侍のステッカーをプレゼントしたり、カフェならライブの日にはメニューにサックス侍をモチーフにしたクッキーをあしらってもらったり、商店街も一緒に盛り上がるよう意識しています。

その活動は、有松や熱田など他の地域にも派生しているようですね。今後の展望はありますか?
サックス侍:名古屋は製造業が強いので観光にあまり力を入れてこなかったと思うんですが、観光資源は豊富。独特でおいしい食べ物もたくさんあるし、行く場所もたくさんある。マーケティングの立場からすると、とてもおもしろい題材なんですよ。サックス侍の活動を通してこれまでは自分をマーケティングしてきたけど、都市をマーケティングしていけるステージに上がれるとおもしろいなと感じています。ライブ時に県外からの集客力もデータとしてとれているので、それを生かして県や市町村と手を取り合って、地域に人を呼び、地域の魅力を知ってもらうことにつながるようなストリートミュージシャンになれればいいですね。
| 鶴舞公園(メインの活動拠点) | 毎週木曜18:00と土日不定期 |
| 大曽根商店街 | 定期的 |
| オアシス21・サカエヒロバス | 不定期 |
























