夏の風物詩「郡上おどり」を彩るメイドイン郡上の踊り下駄 【郡上木履(もくり)】前編

product_28_1
 

郡上伝統の踊りを支える若き下駄職人

 
周囲を山々に囲まれた風光明媚なまち、岐阜県郡上市。多くの観光客を魅了する昔ながらのまちなみでは、7月に入ると日本三大盆踊りに数えられる「郡上おどり」が開催され、およそ2ヶ月の間まちは一層の盛り上がりを見せます。特にお盆期間中に開催される「徹夜おどり」に全国から訪れた人々が昼夜問わず踊り続ける姿は圧巻です! その400年以上の歴史を誇る伝統のまつりを、和の美しさただよう見た目と、軽やかな音で彩る逸品があります。日本古来の履物である下駄を、郡上おどり仕様につくりあげた「踊り下駄」です。
 
product_28_2
↑ 下駄の音で踊りに拍車をかけるのが郡上おどりの特徴。長時間の踊りにも耐えられるよう、履き心地も重視。
 
そんな地域文化と強いつながりをもつ踊り下駄を手がける工房のひとつが、岐阜県郡上市にある「郡上木履(もくり)」。2014年に設立した同工房は「メイドイン郡上」というこだわりをもち、踊り下駄のデザインから原料となる木の調達、製造、販売という一連の工程をすべて郡上市内で行っています。店主の諸橋有斗さんは、岐阜県立森林文化アカデミーで学んだ木工技術を生かし、下駄づくりに励む若き職人。郡上おどりを愛してやまない通称「踊り助平」の晴れ舞台を足元から支え続けているのです。
 
product_28_3
↑ 踊り下駄づくりのこだわりを話す諸橋さん。
 

強く、そして美しく! 踊り下駄に散りばめられた職人の技

 
郡上踊りを盛り上げるのに欠かせない踊り下駄。 諸橋さんは「地面を蹴った時の音にこだわり、他の木材より比重の大きいヒノキを使用しています。また、足を乗せる“台”と地面に当たる部分の“歯”を接合する従来のつくり方だと激しい踊りへの耐久性がないため、木の塊から台と歯が一体となった形状に切り出しているんです」と踊り下駄を構成するポイントを話します。
 
product_28_4
↑ 郡上木履の踊り下駄の原料となる郡上産ヒノキ。ここから下駄のフォルムを切り出します。
 
また、履き心地や耐久性に加えて、ファッション性を添えるのが鼻緒です。郡上木履では素材も製法も異なる色柄多彩なラインアップを展開しています。「郡上市伝統の地場産業である印刷技法『シルクスクリーン』を使ったものや、手作業で刺繍を施す『こぎん刺し』など、鼻緒それぞれに地域の技を生かしています。藍色がきれいな『郡上本染め』の鼻緒は職人さんに直談判して実現したもの。郡上木履の踊り下駄は、“伝統ある生地や技法を鼻緒に取り入れる”という今までにないアイデアを受け入れてくれる方々に恵まれているからこそつくれていると言っても過言ではありません」。
 
product_28_5
↑ 100種類以上の鼻緒から好みのデザインをチョイスし、オーダーメイドで踊り下駄をつくれます。
 

踊り助平との対話から生まれたマスターピース

 
地域資源や地場産業を生かしてつくられている郡上木履の踊り下駄。そのシンプルな佇まいに、伝統の技が息づいていると思いきや、諸橋さんから驚きの答えが! 「私が郡上市で下駄職人を志した2010年当時、下駄づくりを行っていたのは保存会に所属する1人だけ。下駄の基本的な構造以外は独学で勉強し、現在の踊り下駄のフォルムに辿り着きました。下駄づくりのノウハウが少ない分、積極的に取り入れたのが踊る人の意見です。履いた時のフィット感や、踊り姿が美しく見える歯の高さなど、長年踊り続けてきた方々を満足させるまでつくり続けましたね」。郡上木履の踊り下駄は、まさに諸橋さんの創意工夫の結晶なんですね!
 
product_28_6
↑ 諸橋さんは手作業で履く人に合わせた微調整を行います。
 
郡上おどり開幕を控え、日に日に高まるまちのムードを感じながら、諸橋さんは一足一足真心を込めてつくり続けます。「郡上おどりには洋服で参加する方もいらっしゃいます。うちの踊り下駄は鼻緒でアレンジできることから、浴衣にも洋服にもコーディネートしやすい点が特徴。郡上おどりに参加される方は、ぜひ下駄選びも郡上おどりの一部として楽しんでほしいです」と諸橋さんは笑顔を浮かべます。
後編では踊り下駄づくりの拠点である工房にお伺いし、製造工程や職人の技に密着。また、諸橋さんが踊り下駄に込める郡上市への思いをご紹介します。後編記事は6月9日(金)記事アップ予定です。
 
product_28_7
↑ 郡上木履の店舗は木の温もりあふれる落ち着いた空間。ゆったりとした気分で好みの下駄をセレクトできます!
 
(写真:渡辺シンヤ、文:西村友行)
 
後編はこちら
 

New Report

2026-10-01

しょく育

名古屋の伝統工芸品「尾張仏具」の技術で香皿作り!大須・ノヨリで歴史ある彫刻技法を体験

愛知県名古屋市を中心とする尾張地方で製造され、300 年以上の歴史をもつ伝統的工芸品「尾張仏具」。名古屋・大須にある「ノヨリ」の工房では、代々受け継がれてきた尾張仏具の“錺(かざり)金具”技...

2026-09-28

TOPICS

知多木綿と岡田地区の魅力を体感「CHITA MOMENT2026」9/26(土)~10/18(日)

知多市岡田地区のまちが丸ごと会場になる散策型イベント「CHITA MOMENT 2026」が2026年9月26日(土)~10月18日(日)に開催。知多木綿の魅力をはじめ、岡田のまちの歴史や文化、地域...

2026-09-24

シーズントリップ

気になる熊対策も!山登り初心者も楽しめる【愛知・岐阜・三重のおすすめ低山2026】

風が心地いい秋は登山に絶好の季節。日常から離れて自然の中で過ごすひとときは格別です。しかし近年は熊対策も気になるところ。アウトドアショップ「好日山荘 名古屋栄店」店長の安藤雅人さんに、熊対策と愛知・...

2026-09-19

TOPICS

表情豊かな動物たち「岡崎市制110周年記念事業 はしもとみお木彫展 いきものたちとの旅」9/19(土)~12/6(日)

動物たちの姿を、まるで生きているかのように木彫で表現する彫刻家のはしもとみおさん。その作品を一堂に紹介する「はしもとみお木彫展 いきものたちとの旅」が2026年9月19日(土)~12月6日(日)、愛...

2026-09-17

東海ムーブメント仕掛け人

アイコニックな自転車で笑顔の輪を広げる【木工作家/セレクトショップオーナー/イベンター・CHAROさん】

マルシェやイベント会場で目を引くアイコニックな自転車。その傍らに、ヒゲと笑顔が印象的な男性と、その人柄に惹かれて集まる人たち──そんな光景を目にしたことがある人もいるかもしれません。 ...

2026-09-15

TOPICS

伊賀の窯元が勢ぞろい!「伊賀焼陶器まつり」9/19(土)~21(月・祝)

伊賀焼の窯元など31のブースが出店する「伊賀焼陶器まつり」が2026年9月19日(土)~21日(月・祝)の3日間、三重県伊賀市の阿山第一運動公園で開催。普段使いにぴったりの器から、作り手の個...

2026-09-12

TOPICS

各地のクラフトビールが集結「アワアワアワー」9/19(土)・20(日)

日本各地のクラフトビールが大集合する「アワアワアワー」が2026年9月19日(土)・20日(日)、愛知県豊橋市の豊橋まちなか広場とemCAMPUS 1階で開催されます。 入場したらまず...

2026-09-09

HIROBAくんと行く

いなべ市梅林公園に宿泊・体験・食の新施設「あわい」がオープン!四季の自然を感じてリフレッシュ

三重県いなべ市にある「いなべ市梅林公園」。毎年2月下旬から3月中旬にかけ50種2000本の梅が咲き誇る「梅まつり」に多くの観光客が訪れる人気のスポットです。 そんな梅林公園に「宿泊」「体験」「...
ゴッホの跳ね橋,ゴッホ,印象派,展覧会,名古屋市美術館

2026-09-09

TOPICS

巨匠42人の絵画がズラリ!「ゴッホの跳ね橋と印象派の画家たち」9/19(土)~11/29(日)

印象派を軸にモダン・アートの本流をたどる特別展「ゴッホの跳ね橋と印象派の画家たち ヴァルラフ=リヒャルツ美術館所蔵」が2026年9月19日(土)~11月29日(日)、名古屋・栄にある名古屋市...
クラフト餃子フェス,餃子,イベント,名古屋,2026

2026-09-06

TOPICS

全国の個性派餃子が大集合!「クラフト餃子フェス」9/18(金)~23(水・祝)

餃子好きを魅了するフードイベント「クラフト餃子フェス」が2026年9月18日(金)~23日(水・祝)に久屋大通公園・エンゼル広場で開催。定番のご当地餃子から最新の創作餃子まで、全国から23種...
あいちなごやアート&ライツ,愛知県庁,名古屋市役所,デジタルアート,2026

2026-09-04

TOPICS

歴史的建造物×デジタルアート「あいち・なごやアート&ライツ」9/17(木)~10/24(土)

国の重要文化財に指定された帝冠様式建築である愛知県庁本庁舎・名古屋市役所本庁舎の壁面に「あいち・なごや」ならではの歴史や文化をモチーフにした映像を投影するイベント「あいち・なごやアート&ライツ」が2...
pagetop
もくじ