ポートランドイムズを感じる マーケットが名古屋で! 【ポートランドリビング 代表 小林拓一郎さん】インタビュー

文=塚本千晃
 
Movement_09_01
 
名古屋市内で1年に3~4回ほど開催される「ポートランドリビング」。野菜や果物、珈琲など、生産者自らがこだわりの詰まったものを販売するマーケットです。ポートランドとは、アメリカの北西部、オレゴン州にある都市。サードウェーブコーヒーの発祥地でもあり、独自のカルチャーやライフスタイルから、アメリカで「最も住んでみたい街」「最も環境に優しい都市」として近年注目を集めています。2013年に名古屋テレビ塔下の公園からスタートした「ポートランドリビング」。立ち上げ人は、東海エリアで人気のラジオ局でミュージックナビゲーターを務める、小林拓一郎さん。なぜマーケットを立ち上げようと思ったのか?なぜポートランドなのか?小林さんの思いに迫りました。
 
 
 
― 「ポートランドリビング」とは、どんなイベントなんですか?
 
小林:野菜やお菓子、珈琲など、地元でつくられたものや生産者の思いが詰まったものを生産者自らがお客さんとコミュニケーションを取りながら販売したり、陶芸家やミュージシャンが彼らの作品やパフォーマンスを表現したりする場。ポートランドでは、「ファーマーズマーケット」が一年を通して開催されますが、そこでは地元で育てられた野菜や果物、手づくりのお菓子など、季節の食材やここにしかないローカルフードを求めて遠方からも多くの人が足を運びます。名古屋でもそうした場をつくりたいなと考えたのが「ポートランドリビング」です。

 
 

メMovement_09_02
生産者さんとお客さん、また生産者さん同士で会話が弾み賑やかな場内

 
 
― ポートランドの物を売るのではなく、ポートランドのライフスタイルを取り入れて人とのふれあいやローカリティを大切にしているんですね! ところで、どうしてポートランドなんですか?
 
小林:僕が大学時代、ポートランドがあるオレゴン州に留学していたんです。買い物をするときはよくポートランドに行っていたので、なじみのある街でした。街全体がリラックスした雰囲気で、みんなゆったりと過ごしていたのを覚えています。そして僕がお世話になったホストファミリーは散歩の時間を大切にしていたり、家をDIYしたりピザ釜を手づくりしたり。自然と共生しながら地元の物や日常の生活を大切にしている人が多かったですね。今でいうスローライフに近い暮らし。そうしたポートランドの人々のライフスタイルやオレゴンの空気に魅了され、今でも毎年数回はポートランドに“里帰り”しています。そんな大好きなポートランドのライフスタイルを名古屋で再現するために「ポートランドリビング」を考えました。

 
― ポートランドは今や「全米で最も住んでみたい街」にも選ばれるほど人気ですね。
 
小林:ポートランドが人気なのは、都市的な要素と自然がバランスよく共存しているという部分が大きいと思うけど、「アメリカの中でも変わった人たちが集まることで生まれるユニークさ」というのも大きな魅力だと思っています。ポートランド市民は風変わりな気質で知られていて、「Keep Portland Weird(ずっとヘンテコなままでいようよ)」という標語を自分たちでつくるほど。そうした人々が集まってつくる文化や暮らしが、ポートランドの魅力をつくっているのだと思います。「ポートランドリビング」も、その流れを受け継いでいて、大好きなことをとことん追求している人たちが、大好きなことをもっと大好きになれる場所を目指しています。ここに来れば東海エリアのヘンテコな人たちに出会える面白い場所です。
 
― ポートランドに住んでいる人も大きな魅力なんですね。名古屋で「ポートランドリビング」を行うにあたって、大切にしていることは何ですか?
 
小林: 1つは、ポートランドを表すキーワードでもある「ローカル」。野菜や果物だけでなくコーヒーやビールなど、地元でつくられたものを地元で循環するポートランドにならって、僕たちの地元でつくられたもの、手づくりのものを販売しています。そしてもう1つは「つながり」。生産者本人が、お客さんに説明をしたり会話をしながら商品について納得して買ってもらうスタイルにしたいと考えました。例えば変わった野菜があったら「この野菜は何ですか?」という会話から始まり、「どうやって料理したらおいしいですか?」などの質問に広がる。会話をすることで新しい発見や魅力に出合えることが楽しいんじゃないかと思います。そして生産者さんのファンになってもらいたい。例えば、「ポートランドリビング」に出店している生産者さんのファンになった人が、この場以外でも生産者から直接買うようになってくれたり、直売所があるならそこへ行ったりと、「ポートランドリビング」がその先の関係づくりのきっかけになれば嬉しいと思っています。さらにはローカルなものに興味を持つきっかけになるといいですね。

 
 

Movement_09_03
コーヒーとマフィンを販売していたMITTS。コーヒーの芳ばしい香りが広がります。

 

Movement_09_04
野菜は試食もできるんです!

 

Movement_09_05
焼菓子を販売していた笑顔の素敵な女子3人。

 
 
― お客さんと生産者さんとの橋渡し的存在ですね! そういえば、小林さんが着ているシャツにも橋が描かれていますね。
 
小林:これは今回(取材した11月の「ポートランドリビング」)のためにつくったオリジナルデザインのTシャツです。案出しからデザイン、印刷まで全て仲間たちと行ったんですよ。ソーセージを持っているのはポートランドのこだわりおやじをイメージ、右の男性は「ポートランドリビング」に出店しているトマト農家の石原さん。橋が多いことからブリッジタウンと呼ばれるポートランドに掛けて、名古屋とポートランドを橋でつなぎました。ポートランドイムズを受け継いだ名古屋でのイベントを、「楽しそうなことやってるな」という目でおやじがこちらを見ています。
 
 

Movement_09_06
オリジナルデザインのTシャツも制作。

 
 
― そういう意味が込められたシャツだったんですね! デザインは毎回変わるんですか?
 
小林:毎回変わります。今回のシャツ、実は「Living」のつづりが間違ってるんです(笑)でも、そこをお客さんに説明して、納得して買ってもらうというのもまた、「ポートランドリビング」の真髄だなと思いました(笑)。普通、こんな間違ったものを納品したらクレームで返品されてしまうけど、対面で販売するからこそ笑い話になるし、逆にレアだと言って買ってくれる人もいました。もちろんみんな了承していただいて、ほぼ売り切れました。会話が成り立つからこそ生まれる面白さが大きな魅力ですね。

 
 

Movement_09_07
たしかによく見ると、Livingが“Linving”に!

 
 
― 毎回、ローカルなものを楽しみに多くの人が訪れる「ポートランドリビング」ですが、毎月開催しないのですか?
 
小林:そう考えたこともあるんです。だけど、例えば農家さんだと野菜が収穫できる時期とそうでない時期があったり、仕事やお店が忙しくて参加できない時期があったりなど、毎月となると出店者さんにとても負担がかかってしまいます。あくまでも主役は出店する生産者さん。だからなるべく彼らの負担にならないよう、2~3カ月に一度の頻度になりました。でも今年はミーティングの結果、4月、6月、8月、9月、11月とたくさん開催できそうです!
 
 

Movement_09_08
手づくりのお菓子やパンをおしゃれなワゴンで販売。

 
 

― ファンには嬉しい情報ですね! 今後、「ポートランドリビング」をどのように続けていきたいですか?
 
小林:今は名古屋市名東区にある「スイートオブオレゴン」の駐車場をお借りし、またミーティングルームを使わせてもらうなど多大に協力してもらって開催しています。今後はここでの開催のほか、別の場所でも同じようなファーマーズマーケットが派生していくといいなと思います。実際に、出店者であるトマト農家の石原さんが、地元の愛西市で規模は小さいけど「ポートランドリビング」と同じようなスタイルでファーマーズマーケットを開いてくれたのが嬉しくて。そのように展開していけたら、東海エリアのポートランド的“ヘンテコな人たち”に会える場所が増えたり、つながりが広がったり、東海エリア全体がもっとずっと面白くなると思います。

Movement_09_09

会場はお客さんも出店者さんも、多くの笑顔であふれていました。

 

 
 

New Report

2026-10-17

TOPICS

美濃焼産地・土岐の魅力を堪能「うつわさがし2026」10/24(土)・25(日)

美濃焼の一大産地である岐阜県土岐市で、うつわで市内がつながる陶器イベント「うつわさがし2026」が、2026年10月24日(土)・25日(日)に開催されます。 土岐市の陶磁器の歴史は約...

2026-10-14

TOPICS

台湾の夜市気分を満喫「台湾・台中夜市2026」10/31(土)~11/3(火・祝)

台湾の夜市文化を楽しめる「台湾・台中夜市2026」が、2026年10月31日(土)~11月3日(火・祝)に久屋大通公園 エディオン久屋広場で開催されます。 会場には、台湾料理や台湾ドー...

2026-10-10

TOPICS

絵本が生まれるまでの秘密に迫る「かがくいひろしの世界展」10/17(土)~11/15(日)

累計発行部数1000万部を超え、子どもたちに広く愛される絵本「だるまさん」シリーズ。その作者・かがくいひろしさんの創作の軌跡をたどる大回顧展「かがくいひろしの世界展」が、2026年10月17日(土)...

2026-10-08

書店員の本棚

野菜と果物がもっと好きになるおすすめの本3冊:「本屋tsuide」(愛知県犬山市)

名鉄「犬山」駅西口から国宝・犬山城の城下町へ向かう道沿いに、ふんわり甘い香りが鼻をくすぐる「菓子屋shirushi(しるし)」という菓子屋があります。その2階に、「犬山観光やお菓子を買いに来る“つい...

2026-10-07

TOPICS

名古屋城開催!15周年特別企画も「SOCIAL CASTLE MARKET 2026」10/10(土)・11(日)

名古屋最大のマーケットイベントのひとつ「SOCIAL CASTLE MARKET 2026」が2026年10月10日(土)・11日(日)の2日間、名古屋城で開催されます。 久屋大通公園...

2026-10-06

TOPICS

全国から130以上の作家が集結「第24回 GIFUクラフトフェア」10/10(土)~12(月・祝)

JR岐阜駅に直結する商業施設・アクティブGを中心に、岐阜シティ・タワー43、JR岐阜駅、アスティ岐阜が会場となり、全国から130以上のクラフト・ハンドメイド作家が集まるイベント「第24回 G...

2026-10-01

しょく育

名古屋の伝統工芸品「尾張仏具」の技術で香皿作り!大須・ノヨリで歴史ある彫刻技法を体験

愛知県名古屋市を中心とする尾張地方で製造され、300 年以上の歴史をもつ伝統的工芸品「尾張仏具」。名古屋・大須にある「ノヨリ」の工房では、代々受け継がれてきた尾張仏具の“錺(かざり)金具”技...

2026-09-28

TOPICS

知多木綿と岡田地区の魅力を体感「CHITA MOMENT2026」9/26(土)~10/18(日)

知多市岡田地区のまちが丸ごと会場になる散策型イベント「CHITA MOMENT 2026」が2026年9月26日(土)~10月18日(日)に開催。知多木綿の魅力をはじめ、岡田のまちの歴史や文化、地域...

2026-09-24

シーズントリップ

気になる熊対策も!山登り初心者も楽しめる【愛知・岐阜・三重のおすすめ低山2026】

風が心地いい秋は登山に絶好の季節。日常から離れて自然の中で過ごすひとときは格別です。しかし近年は熊対策も気になるところ。アウトドアショップ「好日山荘 名古屋栄店」店長の安藤雅人さんに、熊対策と愛知・...

2026-09-19

TOPICS

表情豊かな動物たち「岡崎市制110周年記念事業 はしもとみお木彫展 いきものたちとの旅」9/19(土)~12/6(日)

動物たちの姿を、まるで生きているかのように木彫で表現する彫刻家のはしもとみおさん。その作品を一堂に紹介する「はしもとみお木彫展 いきものたちとの旅」が2026年9月19日(土)~12月6日(日)、愛...

2026-09-17

東海ムーブメント仕掛け人

アイコニックな自転車で笑顔の輪を広げる【木工作家/セレクトショップオーナー/イベンター・CHAROさん】

マルシェやイベント会場で目を引くアイコニックな自転車。その傍らに、ヒゲと笑顔が印象的な男性と、その人柄に惹かれて集まる人たち──そんな光景を目にしたことがある人もいるかもしれません。 ...
pagetop
もくじ