石徹白洋品店
石徹白洋品店

標高700mの小さな集落、郡上市石徹白(いとしろ)の伝統服を現代風にアレンジ!【石徹白洋品店】後編

石徹白洋品店
  • 前編記事はこちら
あわせて読みたい
標高700mの小さな集落、郡上市石徹白(いとしろ)の伝統服を現代風にアレンジ!【石徹白洋品店】前編 岐阜県と福井県の県境に位置する、人口270人ほどの小さな集落・石徹白。ここでは古くから伝わる服「たつけ」があります。「たつけ」とは、農作業で最も動きやすいように...

岐阜県と福井県の県境にある小さな集落・石徹白(いとしろ)に伝わる野良着を現代でも楽しめるようにアレンジする「石徹白洋品店」。前編では、オーナーの平野馨生里(かおり)さんに、石徹白の魅力や「たつけ」「はかま」などの野良着をアレンジした商品の特徴について話を伺いました。石徹白洋品店の服は、野良着ならではの動きやすい形はそのままに、こだわって選んだオーガニックコットンやリネン、草木染や藍染などのやさしい風合いが特徴。後編では、石徹白に自生する草木をつかった「草木染」の制作風景に迫ります。

もくじ

石徹白の息吹をまとう服づくり

スギ

↑豊かな風土の石徹白で育つ立派なスギの葉も草木染めの材料に。

スギの葉を半日煮出した染液

↑スギの葉を半日煮出した染液で、布を煮詰め染め上げます。

石徹白洋品店の服に使われる染料は、地元に生息する草木や花々から生み出されます。草木染からは、春夏秋冬の移り変わりを楽しむことも。服を通して、石徹白の自然が身近に感じられます。

人にも環境にも優しい「鉄媒染」

鉄媒染

↑鉄がなくなるまで何度も煮出すそう。環境に配慮した服づくりに脱帽です。

草木の色を布に染め付け、定着させるために必要なのが「媒染」。そこで使用するのが鉄なんだそう。山から湧き出る清らかな水を使って、鉄を煮出します。使う鉄は主に廃材だそうで、平野さんは「鉄なら何でも良いんです!」と楽しそうに話します。ゴミに出された鉄くずを使うことも。鍋に入れたあと、鉄分がよく出るように酢と砂糖を少々。見た目はとてつもないインパクトですが、まるで料理をしているかのようです!

鉄媒染

↑先ほど鉄から煮出した染料。生地に余分な鉄分がつかないようお湯でこし、染液で一度煮詰めて染めた生地に3回ほど染み込ませます。

石徹白洋品店の服はすべて手作業。1つひとつ、自分の目で生地の風合いを確認しながら丁寧につくり上げられていきます。

空気に触れることでより深みのある色に

石徹白洋品店

↑絞った布を何度か振り、石徹白の風をたっぷり吹き込ませます。

その後、鉄媒染した布を空気に触れさせる作業へ。鉄と酸素が結合することで、スギの葉で染めた下地の色が、さらに深みを増すそうです!

石徹白

↑仕上げに真水で洗います。

真水で洗ったあと、乾燥させたら布の制作は終了。乾燥後に、色をより定着させるため、布を1年間、暗いところで寝かせるのだとか。現在販売されている服の生地は、1年ほど前に染め上げられたものなんですね!

自分好みの服に仕立てる幸せな時間

ビワで染めたシャツやヨモギで染めたはかま

↑ビワで染めたシャツやヨモギで染めたはかまなど、手染めならではの揺らぎのあるニュアンスと色合いが素敵です。

「それぞれの草木にも個性があって、いろんな色が見えてくるのが面白い。色が落ちてしまっても、重ねて染めることでまた違った色合いに変化します」と平野さん。作り手が服づくりを心底楽しんでいることが、石徹白洋品店の魅力につながっています。

石徹白洋品店

平野さんは、石徹白を身近に感じてもらいたいと、たつけやはかまの作り方をYouTubeや書籍で紹介しています。「たつけやはかまなどのズボンを通して、1人でも多くの人に石徹白という場所を知ってもらいたいです」。そのあたたかな表情には、山奥で伝統服をつくってきた石徹白のおばあちゃんたちに感謝しながら、野良着を誇りに想う気持ちであふれていました。

(写真:岩瀬有奈 文:壁谷雪乃)

石徹白洋品店
住所岐阜県郡上市白鳥町石徹白65-18
営業時間10:00〜17:00
E-mailinfo@itoshiro.org
問い合わせTEL 0575-86-3808(平日10:00~17:00)、0575-86-3360(土日祝10:00~17:00)

https://itoshiro.org/

※来店の際は電話かHPから事前予約を。
※石徹白洋品店の商品は、郡上市の店舗または上記HPのオンラインショップで購入できます。

New Report

2026-06-27

TOPICS

驚きと不思議に満ちた虫の世界「養老孟司と小檜山賢二の虫展」7/11(土)~9/23(水・祝)

解剖学者で大の虫好きとしても知られる養老孟司さん。そして、対象物の全てにピントがあう深度合成技法を駆使し、昆虫写真の新たな可能性を切り拓いた小檜山賢二さん。長年の虫友だちである養老さんと小檜...

2026-06-25

TOPICS

モダンで美しい色使いが魅力「スウェーデン・テキスタイル」7/11(土)~9/6(日)

カラフルで心躍るスウェーデンのテキスタイルにスポットをあてた、日本でも初めての展覧会「スウェーデン・テキスタイル  暮らしと自然に息づく北欧デザイン」が2026年7月11日(土)~9月6日(...

2026-06-20

HIROBAくんと行く

ぴよりんファンの夢が詰まったJR名古屋駅構内のカフェ「ぴよりんvillage」発売15周年の歩みにも迫る

JR名古屋駅構内を歩くと、至るところで見かける“あのスイーツ”といえば……今や名古屋を代表するスイーツと言っても過言ではない「ぴよりん」です。 ぴよりんの世界観を存分に体感できるカフェ...

2026-06-18

TOPICS

モダン・デザインの源流に迫る「アーツ・アンド・クラフツとデザイン│そして民藝」6/20(土)~8/30(日)

19世紀後半のイギリスのアーツ・アンド・クラフツ運動は、産業革命以後の機会化された工場で作られる粗悪な量産品や商業主義を批判して、職人の手仕事による上質なものづくりを見直すとともに、生活と芸...

2026-06-17

シーズントリップ

【愛知・岐阜・三重の工場見学】大人も子どもも楽しく学び、人気商品のヒミツに迫る!

2026年7月から一般公開が開始される湖池屋をはじめ、ブラックサンダー、ヤクルト、キリンビールなど人気商品の製造シーンが見学できる愛知・岐阜・三重の工場見学スポットをまとめて紹介。 無...

2026-06-14

TOPICS

色と色が織りなす表現「JURI KATO exhibition “between color and color”」6/18(木)~29(月)

豊かな色彩表現を活かしたアート作品を制作する、名古屋在住の絵描き・加藤樹里さんによる個展「JURI KATO exhibition “between color and color”」が、2...

2026-06-09

東海ムーブメント仕掛け人

いきものクッキーアートで「可愛い」の先にある物語を届ける【kurimaro collection 杉浦芽愛さん】

三重県桑名市に本店を構える「kurimaro collection(クリマロコレクション)」は、ポップでありながら、細部までリアルに再現した生きものをモチーフとしたクッキーアートを手がける店...

2026-06-05

TOPICS

⾳楽と植物が重なり合う「LISTEN TO THE GARDEN with TENDRE」6/14(⽇)

名古屋港のすぐそばにオープンしたメグラスガーデンナゴヤの⼣暮れの庭で、特別なひとときを味わえる⾳楽イベント「LISTEN TO THE GARDEN with TENDRE」が2026年6⽉...

2026-06-03

HIROBAくんと行く

夏にはハスが見頃!遊具やドッグランも楽しめる愛西市の道の駅「HASUパーク」

2026年4月、愛西市にグランドオープンした「ふれあいの里HASUパーク」。7月中旬~8月上旬に見頃を迎えるハス田をはじめ、遊具広場や産直広場、カフェレストランなどを備えた、“1日中楽しめる...

2026-06-02

TOPICS

約2,000の風鈴が涼やか「とびしま宵あかり」6/5(金)~7/12(日)

水郷の村として発展してきた飛島村を吹き抜ける風を、風鈴とLEDで表現するイベント「とびしま宵あかり」が2026年6月5日(金)~7月12日(日)、飛島村役場で開催されます。 会場には...

2026-06-01

HIROBAくんと行く

足腰の神様を祀る日進市「白山宮」の足王社でサッカーW杯の必勝祈願!

2026年6月11日、いよいよサッカーワールドカップが開幕!東海エリア出身選手からは、鈴木淳之介選手(岐阜県出身で初の選出)、菅原由勢選手(愛知県出身)が選ばれたことでも話題になっています。...
pagetop
もくじ