四日市の4つの萬古焼メーカーが集まり、新たな伝統を紡ぐ
【4th-market】前編

product_06_1
 
国内土鍋シェア80%を誇る焼物産地で生まれた新ブランド!
 
寒さ厳しいこの季節、食べたくなるのがあったか~い鍋料理。鍋を囲んでみんなでワイワイ。この楽しみは、冬ならではの特権といえます。そんな冬の団欒の中心にあるのが「土鍋」。お持ちの方も、きっと多いはず。その土鍋、もしかしたら三重県でつくられたものかもしれません!なぜなら、三重県の四日市市・菰野町は国内土鍋生産量の80%以上を占めるやきもの産地。「萬古焼」と呼ばれるこの地の焼物は300年近い歴史を誇り、なかでも耐熱性と耐久性に優れる萬古焼の土鍋は、全国の食卓で愛用されています。そんな歴史ある焼物産地にルーツをもつ、現代のライフスタイルに寄り添う陶磁器ブランドがあります。陶磁器メーカー4社が集まり立ち上げた「4th-market」です。
 

product_06_2
「4th-market」の土鍋ラインアップ。黒と白のカラーがモダンな印象です!

 

取材にお伺いした「4th-market」の事務所には土鍋はもちろん、小鉢や急須、さらには洋食器やティーカップ、グラタン皿など多彩な製品がずらり!マットカラーやパステルカラーといった優しい色味は、現代の多様なライフスタイルにもフィットし、暮らしを明るく彩ってくれそうですね。天候にも恵まれたこの日、日差しに照らされた色とりどりの製品たちは、まさにアート作品のような佇まい!
 

product_06_3
製品が並ぶ「4th-market」事務所内の風景。眺めているだけで楽しくなります。

 
散りばめられたこだわりが、ありふれた日常に灯りをともす
 
和洋様々な生活シーンにさらりと馴染む「4th-market」の製品。一見シンプルなデザインの中には、つくり手のこだわりが盛り込まれています!まずは、器の表面を覆い優しい色合いを生み出す“釉薬”。「4th-market」では、商品に合わせて一から作っています。理想の色を目指し、細かなニュアンスにもこだわるため、実用化まで2年かかったものも!土の素朴な質感に釉薬が華を添えることで生まれる、洗練されたあたたかみ。持ったときに感じるぬくもりは、つくり手の情熱ではないか…、と思ってしまうほどのこだわりです!
 

product_06_4
何気ない色合いにも作り手のこだわりがキラリと光ります。

 
また、ミルクパンに取り付けられた木の柄。ここにもつくり手の挑戦が!陶磁器は焼き上げると収縮するため、柄の太さを考慮して誤差が出ないよう土を成形する必要があります。長きにわたる試行錯誤の末、木の質感がアクセントとなったかわいらしいミルクパンが完成したのです!あたたかみ溢れる製品に隠れた、並々ならぬこだわり。どのような方がこの魅力的な製品を手掛けているのか、とても気になってきました。
 

product_06_5
木と陶磁器のコントラストが魅力のミルクパン。

 
自分たちが欲しいと思えるものを作りたい!
 
「4th-market」を手がけるのは、三重県四日市市・菰野町で萬古焼の製造を行う有限会社山口陶器・三鈴陶器株式会社・竹政製陶有限会社・株式会社南景製陶園。それぞれが食器・土鍋・耐熱食器・急須に関する高い製造技術をもつ技巧派窯元です。その4社が結集し、2005年に「4th-market」を設立しました。現在、全国各地にファンをもつ注目ブランド。そのものづくりの真髄を探るため、山口陶器代表取締役の山口典宏さん、三鈴陶器代表取締役の熊本泰弘さんにお話を伺いました。
 

product_06_6
山口さんは、萬古焼産業へ熱い思いをたぎらせます。

 
「4th-market」のなれそめについて、山口さんは「出会いは四日市市で毎年開催される“萬古まつり”。窯元が集まり、祭りをPRするための巨大土鍋をつくっていくなかで、萬古焼の将来について語り合い、意気投合した4人で結成しました。3ヶ月間昼夜を共にして制作に励んだ仲なので、結束力は強いですよ」と笑顔で語ります。萬古焼産業、そして自分たちの目指すべき未来を語り合った4人。辿り着いた答えが「自分たちが心から欲しいと思える製品を作る」でした。「それまでは発注されたものを作るということが普通で、培ってきた技術を100%出し切れてない状況が続いていました。手間をかけた理想の製品を作ってみたい。その思いが同ブランド設立につながりました」と熊本さんは当時の状況を振り返ります。
こうして始まった「4th-market」のものづくり。毎年テーマを掲げ挑戦しながら、多彩な製品を世に送り出してきました。その開発現場は、職人とデザイナー、事務所スタッフという異なる視点が集約する場所。アイデアがぶつかり、磨かれることで、魅力的な製品は生み出されています。熊本さんは、「4th-market」のものづくりの真髄をいきいきと話してくださいました。「自分たちが思い描く製品を実現するためには、今までやったことのない技術が求められることが多い。そこで二の足を踏まないこと。一手間も二手間もかけてよりよい製品に仕上げることこそ、設立以来貫いてきた4th-marketのこだわりなのです」。
 

product_06_7
土鍋づくりを担当する熊本さん。柔和な笑顔でものづくりへの思いを話します。

 
萬古焼の新たな扉を開く「4th-market」の挑戦。次の伝統を紡ぐトップランナーとして、産地を牽引する姿が垣間見えました。現代のライフスタイルに沿った取り組みの背景にある、地場産業への敬意。その真心が製品のあたたかみにつながっていると感じました。後編では、熊本さんの工房にお伺いして「4th-market」のものづくりの現場を取材!「4th-market」が描く産地の未来像を紹介します。ぜひお見逃しなく!
 

product_06_8
時に熱く、時に和やかに、製品への愛情を語るお二人。その人柄は製品に負けないほど魅力的でした!

 
後編はこちら
 

New Report

旅の想像力,犬山,現代美術,アート,イベント,2026

2026-11-03

TOPICS

犬山でアートを巡る「旅の想像力 現代美術in犬山」11/14(土)~12/6(日)

現代美術の魅力に出会う展示会「旅の想像力 現代美術 in 犬山」が、2026年11月14日(土)~12月6日(日)に犬山市内で開催。2028年に開催される国際芸術祭「あいち2028」の関連事...

2026-10-31

TOPICS

パリの魔法がかかる2日間「円頓寺秋のパリ祭2026」11/14(土)・15(日)

名古屋で最も古いといわれるアーケード商店街・円頓寺商店街で、年に1度パリの魔法がかかるイベント「円頓寺秋のパリ祭2026」が、2026年11月14日(土)・15日(日)に開催されます。 ...

2026-10-30

HIROBAくんと行く

人気ドラマのロケ地として話題!岐阜・セラミックパークMINOと岩村城下町をフォト散歩

あの人気ドラマの撮影スポットが岐阜県内にいくつかあることを知っていましたか? 撮影スポットの中から、セラミックパークMINO、岩村城下町をHIROBAくんと一緒に散策。印象的なシーンを...

2026-10-27

TOPICS

全身で楽しむ浮世絵の世界「動き出す浮世絵展 GIFU」11/6(金)~1/11(月・祝)

浮世絵の世界に没入できるデジタルアートミュージアム「動き出す浮世絵展 GIFU」が、2026年11月6日(金)~2027年1月11日(月・祝)に岐阜市歴史博物館で開催されます。 会場で...

2026-10-27

トーカイ・プロダクト・ストーリー

和装を支える伝統素材「三河帯芯」を今の暮らしへ。西尾のアパレルブランド「UZUiRO」

愛知県西尾市を中心に受け継がれてきた、着物の帯を内側から支える「三河帯芯」。三河帯芯の国内シェアはなんと95%以上! 華やかな帯の内側に入るため普段は人の目に触れることはありませんが、軽くて...

2026-10-26

TOPICS

各務原に130店以上が集結「マーケット日和2026」11/3(火・祝)

「マーケット日和を、まちの交園に」というコンセプトのもと、岐阜県各務原市で130以上が出店する「マーケット日和2026」が、2026年11月3日(火・祝)に開催されます。 会場は、学び...

2026-10-21

東海ムーブメント仕掛け人

名東区西山界隈・星ヶ丘界隈を舞台に街中をアートやデザインで彩る【なごや裏山芸術祭・植村康平さん】

2025年に初開催された、名東区の西山商店街を中心としたアートイベント「なごや裏山芸術祭」。今年は「より街の人々や場所、子どもたちに向けた芸術祭」をコンセプトに、地域に根差した芸術祭が予定されていま...

2026-10-17

TOPICS

美濃焼産地・土岐の魅力を堪能「うつわさがし2026」10/24(土)・25(日)

美濃焼の一大産地である岐阜県土岐市で、うつわで市内がつながる陶器イベント「うつわさがし2026」が、2026年10月24日(土)・25日(日)に開催されます。 土岐市の陶磁器の歴史は約...

2026-10-14

TOPICS

台湾の夜市気分を満喫「台湾・台中夜市2026」10/31(土)~11/3(火・祝)

台湾の夜市文化を楽しめる「台湾・台中夜市2026」が、2026年10月31日(土)~11月3日(火・祝)に久屋大通公園 エディオン久屋広場で開催されます。 会場には、台湾料理や台湾ドー...

2026-10-10

TOPICS

絵本が生まれるまでの秘密に迫る「かがくいひろしの世界展」10/17(土)~11/15(日)

累計発行部数1000万部を超え、子どもたちに広く愛される絵本「だるまさん」シリーズ。その作者・かがくいひろしさんの創作の軌跡をたどる大回顧展「かがくいひろしの世界展」が、2026年10月17日(土)...

2026-10-08

書店員の本棚

野菜と果物がもっと好きになるおすすめの本3冊:「本屋tsuide」(愛知県犬山市)

名鉄「犬山」駅西口から国宝・犬山城の城下町へ向かう道沿いに、ふんわり甘い香りが鼻をくすぐる「菓子屋shirushi(しるし)」という菓子屋があります。その2階に、「犬山観光やお菓子を買いに来る“つい...
pagetop
もくじ