「ものづくり」の背景にあるストーリーを紹介。作り手の想いやこだわりに迫ります。 インタビュー愛知犬山市

梅雨シーズンに入り、傘が手放せない毎日が続いています。傘を持ち歩くのは仕方がないとしても、屋内に入ったときにポタポタと水滴を落として床を濡らしてしまったり、満員電車やバスで他人や自分の衣服を濡らしてしまわないかハラハラしたりと、何かと不便な思いをした人も多いのではないでしょうか?
 
そんなときに便利なのが、手軽に持ち歩ける傘カバー「Takenoco[タケノコ]」です。生みの親である、愛知県犬山市の「ぐらびて」伊藤益宏さんに誕生秘話をお聞きしました。

 

▼もくじ
・手軽に携帯できて手入れも楽な傘カバー
・「かわいい要素」を付け足して商品化
・バスで濡れる心配なく、エコにも優しい

手軽に携帯できて手入れも楽な傘カバー

 

プラスチックの本体部分に傘をかぶせるだけで、スーッと伸びて濡れた傘をカバーできるタケノコ。シリコン紐付きで、バッグに付けて持ち歩きもラクチン。コンパクトに縮めた姿がタケノコのように見えるため、その名が付けられました。
 
「あなたに、まわりに、ちょっとした心配り」をコンセプトとしている「ぐらびて」の自社ブランド「up-mark-sam(アップマークサム)」から2020年7月に販売スタート。改良版も合わせると、これまでに7,000点以上売れている人気商品です。

 


↑屋内に持ち込んでも水濡れを気にせずに済みます。

 

ありそうでなかった便利グッズのように見えますが、実は伸び縮みをする傘カバーは中国や韓国で20年も前に存在していたとのお話にびっくり。
 
「中国や韓国では、先端部分に伸び縮みするパーツが付いた長傘が売れていたんです。合理的に考える人が多いお国柄もあって、閉じてそのままカバーがかけられる傘が受け入れられたのですが、いかんせん、あまりかっこよくないでしょ。日本では全然売れていませんでした」と伊藤さん。

 


↑これまでレイングッズなどの商品開発を多数手がけてきた「ぐらびて」代表・伊藤益宏さん。

 

「かわいい要素」を付け足して商品化

 
タケノコ誕生のきっかけは、「ぐらびて」の取引先会社の社長から「伸び縮みするプラスチックパーツを使って何か作れない?」と持ち掛けられたこと。「とりあえずやってみましょう」と伊藤さんの試行錯誤の日々が始まりました。
 
「最初は『無理無理』って思いましたよ。なにせ、かっこわるくて日本では売れなかったという過去を知っていましたから」。それでもなんとか世に出せるものを作ろうと、持ち前の発想力を発揮します。

 


↑元となった本体パーツは透明なプラスチックが重なっているだけの製品です。

 

デザイン性が受け入れられなかったのなら、なにか「かわいい要素」を付け足そうと考えた伊藤さん。ちょうどその頃、ほかの商品開発でシリコン素材を扱っていたこともあり、シリコンの柔らかい素材感と発色の良さに目を付けます。
 
「プラスチックの本体にシリコンを巻いてみたら、初めて『かわいいかも?』と思いました。それでもまだ売れる自信がなく、女性に試作品の意見を聞いて回ったそう。「反応は可もなく不可もなく(笑)。傘に装着した時のイメージがわきにくく、メリットが想像しにくかったようです」。

 


↑左のライトブルーは第一弾に作った色。ネイビーの傘を持つ女性が多いことから、ネイビーと相性がよく、明るく映える色合いに。

バスで濡れる心配なく、エコにも優しい

 

↑現在のカラーラインナップは、ピンク、ミント、パープル、ネイビー、カーキ、ブラックの全6色。

 

ようやく自信が持てたのは、クラウドファンディングで「こういうの、欲しかったです!」という好意的な意見が集まったとき。特に、バス利用者から絶大な支持を得ることができたそうです。
 
多くのバス停は屋根がなく、雨が降っているときは傘をさしてバスを待ちます。やってきたバスが満員だった場合、濡れた傘で自分のみならず周りの人も濡らしてしまう可能性があることにストレスを感じている人も多いようで「日本人らしい気遣いが感じられるエピソードでした」と伊藤さん。

 

 

「世の中にある傘カバーは多くが布製で、一度使うと洗って干す手間が必要となります。また、繰り返し利用していると雑菌が繁殖し、ニオイが気になることも。タケノコはプラスチック製のため、中の水を捨てて乾かすだけという手軽さも、利用者からは高評価でした」。繰り返し使えて、環境にも優しい。エコバッグならぬ、エコ傘カバーですね!

 

2020年7月の第一弾発売時には1,000セットが瞬く間に完売。しかし、そこで満足する伊藤さんではありません。もっとよくならないか…と改良版の製作へと乗り出します。後編では、タケノコ改良版の製作秘話について、また「アップマークサム」の他商品のアイデアなど、伊藤さんの発想力の源泉に迫ります。
 
後編記事はこちら

 

(写真:岩瀬有奈 文:河合春奈)

 

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