親子浴タイムがもっと楽しくなる!子どもをやさしく洗いあげる筆【福筆(ふくふで)】後編

前編はこちら
 

(撮影協力:佐藤凜空くん)
 
豊橋の伝統工芸品・豊橋筆の伝統技術を用いてつくられる、やさしい肌触りの筆「福筆(ふくふで)」。子どもの顔や体を洗うための、親子浴が楽しくなるような筆です。制作を手がけるのは、豊橋筆の伝統工芸士のひとり、川合毛筆の川合福男さん。豊橋筆と全く同じ工程を踏んで完成するという「福筆」の制作現場を見学させてもらいました。
 

↑ 左から川合さんの弟子の中西由季さん、豊橋筆職人の川合福男さん、川合さんたちに「福筆」を作ってほしいと話を持ち込んだ豊橋市役所の吉開仁紀さん。
 

工程はすべて手作業。指の感触を頼りに毛先を揃える。

 
豊橋筆は全部で36もの工程を経てつくられ、そのすべてを手作業で行います。「はじめの工程は『毛もみ』。籾殻を燃やして作った灰を毛と一緒に揉むことで、灰が毛の油分を吸い、サラサラした仕上がりになるんです」。その次に『せんべつ』。指の感触を頼りに先が切れている毛を1本1本挟み出し、一度も切られていないバージンヘアだけを残します。「毛先は一見揃っているように見えても、数ミリの差があるだけで肌に触れた時の感触は変わってしまう。埋もれている毛を引っ張り出し、ぴったりと毛先を揃えることで、きめ細やかな肌触りになるんです」。
 

↑ 籾殻を燃やして作った灰を毛にふりかけ、一緒に揉みます。
 

↑ 力強く何度も揉むことで、動物の毛が持つ油を吸い出します。
 

↑ 指の感覚は、経験を積み重ねていくことで極めていくのだそう。
 

異なる長さの毛を均一に混ぜ合わせ、なめらかな肌触りに

 
一度熱湯で煮た毛を10段階の長さにカットしたら、豊橋筆の制作工程の中で最も特徴的とされる「練りまぜ」の工程へ。「『はんさし』という道具を使って、毛を伸ばしては折りたたむという作業を何度も繰り返し、長さの違う毛を均等に混ぜ合わせます。長さの違う毛を混ぜ合わせることで、豊橋筆の“水の含みがよく、なめらかな書き味”という特徴が生まれるんです」。直径3㎝の太さに整え根元を糸で縛り、天日で4~5日間しっかりと干して乾かしたら「福筆」の筆部分の完成です。
 

↑ 水を含ませながら、毛を伸ばしては折りたたむ作業を何度も繰り返します。
 

↑ 天日でしっかりと乾かし、完成した筆部分。その後根元を焼きごてで焼き、持ち手に取りつけます。
 

↑ 子どもに使用するので縁起のいいものにしたいという想いと、川合さんの名前「福男」から一文字とって、「福筆」と名付けたそう。
 

↑ 子どもが自分自身で洗ったり、パパやママと互いに洗い合ったりとお風呂がコミュニケーションタイムに。
(撮影協力:赤土ねねちゃん)
 

↑ 実際に洗ってみると、なめらかな肌触りがとっても気持ちいい~!
 

50年経った今も常に勉強の日々。さらなる高みを目指して

 
川合さんが豊橋筆職人の道に進んでから、今年でちょうど50年。長年川合さんの心を虜にする豊橋筆づくりの魅力とは――。
50年経った今も、満足のいくものができた!と思ったことがないんです。豊橋筆は書筆として使われることが多いですが、楷書や行書、草書など書の種類や書く字の太さによって使う筆が変わるし、書く人によって好みも違う。お客さんの注文内容を理解するために自分も使ってみる必要があると感じ、20年前から書道を習い始めました。まだまだ豊橋筆について勉強したいし、もっと腕を磨いてさらにいいものを作りたい」。
小さい頃から図工の授業は、もっと工夫したらいいものができるのではとこだわりすぎて時間が足らず、絵画や工作は未完成のものばかりたったという川合さん。強い探究心が、多くの書道家に愛される高品質な筆を生み出しているのですね!
 

↑ 川合さんが自分の作った筆で書いた「寿」の文字。書道を習い始めてから、使う人の気持ちがわかるようになったのだそう。
 

福筆を通して、豊橋の伝統技術を未来に繋いでいきたい

 
「『福筆』はぜひパパに使ってほしいんです!」と語るのは、「福筆」の開発に携わる豊橋市役所の吉開仁紀さん。「私自身もそうですが、子どもとの時間がなかなか持てないパパに、『福筆』を使って子どもと楽しい時間を過ごしてほしくて。お風呂の時間だけでもパパが主役になれたら嬉しいです」。
また豊橋筆に対する想いも。「『福筆』を通して、豊橋筆という高い技術を用いて作られる伝統工芸品があるということを多くの人に知ってほしい。そして『福筆』を通して若い職人が技術を学べる機会を増やし、これからの未来に伝統を繋いでいきたいです」。
 
※「福筆」にはヤギの毛を使っています。アレルギーなどある方は体質的に合わない可能性がありますので、ご注意ください。肌に合わない場合は、すぐに使用を止めて皮膚科医等の診察を受けてください。
 
(撮影:西澤智子 文:松本翔子)
 
前編はこちら
 
 

New Report

ミッフィー,展覧会,多治見,2026,ワークショップ

2026-08-15

TOPICS

毎年人気!夏の企画展「ミッフィーとこどものじかん」8/1(土)~11/23(月・祝)

ミッフィーの生みの親であり、オランダを代表する絵本作家でグラフィックデザイナーのディック・ブルーナは、生涯を通して多くの絵本を創作してきました。岐阜県多治見市のこども陶器博物館では、企画展「...

2026-08-11

HIROBAくんと行く

名古屋・栄の新たなシンボルタワー、ザ・ランドマーク名古屋栄にコンラッド名古屋が開業

2026年6月に商業施設「HAERA(ハエラ)」、映画館「TOHOシネマズ」がオープンしたザ・ランドマーク名古屋栄の10・11階、31階~40階に7月、コンラッド名古屋が開業。全170室の客室はすべ...

2026-08-06

HIROBAくんと行く

遊び方は無限大!屋内施設「カラダうごかす森 Harappa(はらっぱ)」があいち健康の森公園にオープン

愛知県大府市の大型公園「あいち健康の森公園」に2026年7月、「カラダうごかす森 Harappa(はらっぱ)」が誕生!暑い日も雨の日も、天候を気にせず楽しめる屋内施設です。木の遊具がふんだんに配置さ...

2026-08-04

HIROBAくんと行く

鳥羽湾クルーズでイルカ島へ!イルカのあそび時間や絶景を満喫する夏旅

「近場でも非日常感が味わえる体験をしたい」そんな夏休みのお出かけにぴったりなのが、鳥羽湾を巡るクルーズとイルカ島観光が楽しめる船旅です。 遊覧船に揺られながら鳥羽湾の美しい景色を眺め、...
妖怪,イベント,もののけ宝箱,岡崎,2026

2026-08-01

TOPICS

妖怪が大集結!「開け!もののけ宝箱」8/1(土)~10/12(月・祝)

妖怪の歴史と魅力いっぱいの展覧会「開け!もののけ宝箱 ~コワイもカワイイも⁉三次&岡崎から妖怪大集結!~」が2026月8月1日(土)~10月12日(月・祝)に岡崎城・三河武士の...

2026-07-31

TOPICS

愛岐トンネル群を特別公開「森のビアホール」8/1(土)~30(日)

登録有形文化財の愛岐トンネル群でビールやグルメを楽しめる「森のビアホール」が2026年8月1日(土)~30日(日)に開催。春・秋の特別公開を除き、トンネル内に入れる唯一の機会です。 入...

2026-07-29

東海ムーブメント仕掛け人

街角演奏で人や街とつながり、名古屋の魅力を伝える【名古屋の人間観光地・サックス侍】

浪人笠をかぶり、名古屋市内の街角に現れてサックスを吹く「サックス侍」。その活動がSNSやテレビで話題を呼び、「サックス侍に会いたい」「あの音をまた聴きたい」と名古屋を訪れる人が増えているとか...

2026-07-28

しょく育

冷たい飲み物を注ぐと色が変わる!多治見市の「壱LABO」でサンドブラスト体験

17℃以下の飲み物を注ぐと、グラスの中で鮮やかな花火が打ち上がる。 そんな夏にぴったりの仕掛けが施された「冷感グラス」を知っていますか? 多治見市の老舗食器製造販売「丸モ高木陶器」が手...
安城七夕まつり,七夕まつり,安城,2026,愛知

2026-07-25

TOPICS

“願いごと、日本一。”の七夕まつり「安城七夕まつり」8/7(金)~9(日)

竹飾りのストリートが日本一長いことで知られる「安城七夕まつり」が、2026年8月7日(金)~9日(日)にJR安城駅周辺市街地一帯で開催されます。 安城市民だけでなく周辺地域からも多くの...

2026-07-23

TOPICS

愛知の食文化を楽しく学ぶ!「酢づくりが今も昔も酢っごい展」7/25(土)~8/30(日)

愛知県半田市にある食文化の体験型博物館「ミツカンミュージアム」では、通常の見学ゾーンとは別のMIMホールにて、イベント「酢づくりが今も昔も酢っごい展」を2026年7月25日(土)~8月30日...

2026-07-22

ノスタルジックさんぽ

国の登録有形文化財に新スポットがオープン!さくらももこが愛した「郡上八幡さんぽ」

岐阜県郡上市にある国の登録有形文化財である郡上八幡 町屋敷越前屋に2026年7月4日、さくらももこさんが愛した郡上八幡の魅力を伝えるスポット「さくらももこと郡上八幡」がオープン。 漫画...
pagetop
もくじ